通りすがりの俺様

「いや~、知らない間に当たってることはあるかもしれませんが。
 知らない間に買ってることはないかと思いますね」

 私、夢遊病かなにかなのでしょうか……?

「あの、でも、ここだけの話なんですが……」
といずるが身を乗り出すと、みんな乗り出してきたが、先輩のひとりが、

「待って」
とその流れを止める。

「あんた、ここだけの話をここでしていいの?
 ここが一番、あんたのここだけの話をしちゃいけないところよ」
(さと)してくれた。

 確かに、ここにいる人たちは敵。

 だが、だからこそ、冷静に聞いてもらえるなにかがあると思った。

 そのなにかがなんなのかと問われると、ちょっと困るのだが――。

「実は私、誰かに狙われているらしいんです」
「水内さんじゃなくて?」

「そういう平和な狙われ方じゃなくて。
 なんか後をつけてる人がいるらしいです。

 水内さんはそれを知って、ワクワクして、私に付き纏っているというか」

「……いや、どんな人でなし」
と特に一鷹に恋心のない晴菜がクリームシチューを食べながら、苦笑いする。

「あの人は私じゃなくて、サスペンス的展開に興味があるだけなのではないですかね?」

「そうかしら?
 でも、あんた、なんで狙われてんの?」

 そもそも誰に? と問われて、いずるも首をひねる。