通りすがりの俺様

「誰が誰のファンか名乗って欲しいなあ」
と呟きながらその場を去って、

「……やられることは同じなのに、誰のファンか名乗りを上げてもらうことに意味はあるの?」
と晴菜に言われた。

「はっ。
 いい気味ねっ。
 チャラチャラしてるからよっ」

 そんな声がして、右前のテーブルを見た。

 あ、この人たちは水内さんのファンだ。

「ちょうどよかった。
 ここ、空いてますか?」

「……どんな神経してんのよ、あんた」
とリーダーに言われたが、いや、知らない人より、知ってるアンチの人の方がまだ話しかけやすいというか。

 結局、リーダーたちの席に座らせてもらった。

「みんな、最近、私たちに怯えてるから、席空いてたのよ」
とリーダーが言う。

「なんで怯えてるんですか?」
「私たちが、あんたをやってるからじゃないの?」

「でも、ロッカーは荒らされてませんでしたよ」

「なんで、私たちがロッカー荒らす設定なのよっ。
 わざわざ本館まで行かないわよ、めんどくさい。

 ……なに、その程度の愛なんですねって顔してんのよ」

「あー、いえいえ。
 あっ、美味しそうですね、そのランチッ」

 いずるは場を和ませようとそう言ってみたのだが、
「さっきあんたが冷えそうって言ったサラダボウルよ……」
と言われてしまう。

 聞いてたんですね。
 すみません……。