そのあと、一鷹が腹が減ったというので、結局、二人で食事に行った。
店に入るとき、一鷹が言う。
「そんなに周囲を気にしなくてもいいぞ。
おかしなやつがいても、俺がついてる」
格好いいじゃないですか。
でも、私がもっとも恐れてるのは、謎の尾行してくる人じゃなくて、あなたのファンなんですが。
だって、目の前にある恐怖ですからね、といずるは思う。
食事中、いずるは、ありがたいけど、あまり近づかないで欲しい、と一鷹に言った。
ほんとうになにかに狙われているのなら、一鷹の身もちょっと心配だったからだ。
焼肉を食べながら、いずるは愚痴る。
「ほんとうにありがたいんですが。
水内さんのおかげで、私のなんとなく上手くやってた会社生活が崩壊してく感じがするんですよ」
「上手くやってたって、自分が思ってただけなんじゃないのか?
なんか狙われてるし。
俺の平凡な人生こそ、お前に巻き込まれて無茶苦茶になってるぞ」
そう言いながら、なんだか嬉しそうなんですけど。
なんか、ウキウキしてますよね。
その原因は私ではなさそうなんですが。
それに、水内さんは一ミリも平凡じゃないですよ。
普通の男性社員はあんな風に女性社員に取り囲まれて歩きませんから、
といずるは思っていた。



