通りすがりの俺様




「俺は自分を王子だなんて言ってないぞ」
と一鷹は言う。

「みなさんがおっしゃってたんです。

 えーと……。
 なんか名前もよく知らない人々が」

「……お前の方が何気にひどいぞ」

 いや、集団で攻撃されたからですよ、王子、といずるは思っていた。

 エレベーターを降りてからも、いずるは彼女らに捕まっていたのだ。

「ちょっとっ。
 なに私の目の前で水内さんと約束なんてしてんのよ」

 その場に押しかけるわよっ、とさっきから主に話しているリーダー格の女性が言う。

「私なんて、入社したとき、水内さんを見て。
 ずっと探していた私の王子様がいたって思ったのに!」

「……王子様?
 ああ、まあ、確かに、勇ましい感じがしますよね」

 戦闘能力高そう、といずるは言って、
「そういう王子じゃないわよ……」
と言われる。