通りすがりの俺様

 


「あなたは王子様じゃないです。
 あなたのせいで、ひどい目に遭いました……」

 行き交う人の多い夜の駅前で、いずるは一鷹にそう言う。

 電話で待ち合わせ場所を決めたとき、
「駅前なんて、目立つじゃないですか」
といずるは主張したのだが。

 一鷹は、
「目立ってなにが悪い。
 別になにも悪いことしてないのに」
と言っていた。

 いや、そうなんですけどね。
 悪いことはしていないのですが。

 そのことにより、これから、悪いことが起こるわけですよ、私の身に。

 そういずる思いながらも、一鷹が、
「目立つ場所の方がお前が安全だろ。
 後をつけてる変なやつがいるかもしれないのに」
と言うので。

 心配してもらった手前、逆らえないなあ、と思い、明日も先輩たちにやられる覚悟で、駅の交番前で待ち合わせたのだ。

 ちなみに、交番前なのは、襲撃を受けたときのためだ。

 尾行している人じゃなく、女性陣に……。

 何故なら、みんな、身を乗り出して、一鷹との電話の内容を聞いていたからだ。