通りすがりの俺様

「ありがとうございます。
 大丈夫です。

 水内さんにご迷惑おかけすることになってはいけませんので」

 失礼します、と最大限の感謝を込めてお辞儀をし、歩き出したが、エントランスを入ったところで、女性陣に取り囲まれた。

「ちょっと。
 あんた、なに水内さんと二人きりで話してるのよ」

「総務の子よね」

「おとなしそうな顔して、生意気」

 ……どっちかと言うと、水内さんのせいで、最大のピンチが訪れちゃってるんですけどっ。

 今、守ってっ、ともういない水内の方を振り返りながら、いずるは思っていた。