ホテルの怖い話短編集

「この傘をあの部屋から持ち出すとね、その人について行っちゃうのよ」
確かに、私のアパートの部屋の中に、この傘は出現した。
「でも、そっとしておけばすぐに消えるから、大丈夫なの」
「あの、その傘って呪われているんですか?」
恐る恐る質問すると、その人は快活な笑顔を浮かべて大きく頷いた。
「そうよ。もう10年も昔のことだけど、303号室に泊まっていた若い女性がいたの。その人は色白で背が高くて、この傘がとてもよく似合う人だった」
「宿泊の目的はなんだったんですか?」