ホテルの怖い話短編集

私はこの部屋の客が連泊だなんて連絡は受けていない。
それに、303号室に残されているのは傘だけで、他の荷物はなにもない。
「やっぱり、連泊じゃないよね?」
客の荷物に無断で触れてしまったと思ってヒヤリとしたけれど、違うみたいだ。
だとしたら、同じ客が一度チェックアウトしてまた同じ部屋に泊ったということになる。
すぐに帰るつもりでいたけれど、急遽泊る必要が出てくる人はたまにいる。
「とにかく、これは忘れ物ってことでいいよね?」
私は真っ白な傘を手に持ち、忘れ物保管庫へと向かったのだった。

☆☆☆

異変が起きたのはその日の夜のことだった。
客数が少ないため昼2時には仕事を終えて帰宅した。