ホテルの怖い話短編集

咄嗟に立ち止まり、頭をフル回転させる。
誰?
知り合い?
ううん、見たことない人だ。
焦りで酔いが覚めていくのがわかる。
男が立ち上がり、こちらへ近づいてくる。
すぐに逃げなきゃと思うのに、足が固まったようにその場から動くことができなかった。
「なんで? お前、アヤナじゃねぇじゃん」
男の声は怒っている。
アヤナ?
誰それ。
そう思ったとき、ミナの言葉を思い出した。
『充電器のアダプター部分に監視カメラや盗聴器、位置情報を提供するGPSなんかがつけられていることもある』
あ……もしかしてこの充電器の持ち主は、わざとホテルに置き忘れて行ったんだろうか。
この男から、逃げ切るために。