ホテルの怖い話短編集

そのマスターも男性客に関してはあまり覚えていなくて目ぼしい情報は得られていなかった。
「行方不明になった男もこの辺の人間じゃなかったみたいだし、そこから探すのはさすがに無理だってぇ」
初日から弱音を吐きながらもう一度男のプロフィールを頭に思い浮かべる。
45歳、未婚、電気屋の店長をしていたけれど、一月前から出社していない。
独り暮らしのアパートは、ここから電車で一時間もかかる場所にある。
けれどしばらくは自分の家族と連絡を取り合っていたようで、それが途絶えたのが一週間前ということだ。
正直大の大人が一週間姿を消したくらいでは警察は動いてくれない。