ホテルの怖い話短編集

思わず声を上げてケーキを投げ捨てる。
「なんだこれ、なんでこんな――」
ホテル側に文句を言うべく受話器を上げる。
『はい。こちらフロントです』
「おい! 冷蔵庫のケーキに爪が入ってたおぞ!」
『冷蔵庫のケーキ、ですか? 恐れ入りますがお客様、当ホテルでは冷蔵庫にケーキを保管するようなことはしておりません』
「でも、今日俺は誕生日で実際にケーキが……」
そこまで言って、ハッと息を飲んだ。
『黒魔術の中にはね、自分の体の一部を相手に食べさせて呪い殺すものもあるのよ』
洋子がいつか言っていた言葉を思い出して、握り締めていて受話器が手から滑り落ちた。
まさか、洋子はすでにここに?