ホテルの怖い話短編集

「仕事もしていないのにこんな高級品買って!」
と、つい声を荒げてしまったのだ。
仕事をしていないのは家庭のため。
つまり、俺のためでもあるのに、そのときにはついカッとなってしまった。
洋子はそれでもしおらしくうなだれて謝ってきただけだった。
わかればいいんだ。
そんな、上から目線のことを言ったと思う。
13年という年月を経て、俺は洋子と対等ではなく自分の方が上だと思い込んでいたんだ。
だからつい、お店の子といい感じになったときにも「まぁいいだろう」と思ってしまった。
俺は家族を養っているのだからと。
その一回だけだった。
13年間でたった一回の浮気。