恋を知らない天才魔術師が、惚れ薬を作るまで



そして、ジョシュアとのデート当日。

自身が持っている衣服の中で、一番まともな紺色のワンピースをタンスの奥底から引っ張り出した。

普段は着やすさと動きやすさ重視な服装ばかりだったから、このような服を着るのは本当に久しぶりだった。

下手したらアカデミーを卒業して以来着ていない、もしかしたら服のサイズが合わないかもと心配はしていたが、問題なく着られた。

最近は節約のために食事の量を減らしているせいか、以前より少しだけ緩く感じる。

後ろに雑に縛っている髪を解き、櫛でとかす。

いったいどういう髪型がデート向きなのかわからなかったので、とりあえず街中で見かけて可愛いなと思った編み込みのハーフアップにしてみる。

初めてやってみたが、手が器用なおかげか、中々綺麗にできたなと鏡の中のイザベラが小さく微笑む。

最後に髪留めを後ろにつけて、荷物の最終確認をして、部屋を出た。

待ち合わせ場所の中央広場はイザベラの家から、徒歩ですぐの場所にある。

休日なので普段とは違う雰囲気を見せる商店通りを抜けると、開けた場所に辿り着く。

王都の中央広場はその名の通り、都の中心に位置する場所で、中央に象徴的な噴水が設置されており、そこから円形の空間が広がっている。

そのため、広場の至るところに待ち合わせ中の人々がいて、ジョシュアを見つけるのに難航していた。