恋を知らない天才魔術師が、惚れ薬を作るまで



コーヒーの香りで顔を上げたユリウスと目が合う。


「なんだ...?」


眉をひそめたユリウスが仏頂面で見上げてくる。作業を中断されて不機嫌なのが声から伝わってくる。

なので、イザベラは簡潔に報告することにした。


「今度の休みに、ジョシュア君とデートすることになりました」

「そうか、励むがいい」


興味なさそうに返事をすると、ユリウスは頭を下げ、作業に戻っていった。

予想はしていたが、あまりにも反応が薄すぎて戸惑う。

惚れ薬作製のために、ユリウスの命令でジョシュアに近づいた結果、こうなってるのに何故興味を示さない。

少し腹立たしくなるも、目の前の作業に没頭しているユリウスの横顔をイザベラは静かに見つめる。

この状態になると、ユリウスはどんなことにも無反応になる。

けれど、不思議とイザベラはその状態になったユリウスを見るのは嫌いではなかった。

作業の邪魔をしてはいけないと思い、空になったコップを回収して、離れようとした。


「ーー待て、今なんと言った?」


再度、顔を上げたユリウスに呼び止められる。