恋を知らない天才魔術師が、惚れ薬を作るまで



こんな人に聞かせるにはあまりにも恥ずかしすぎる内容も呆れることなく聞いてくれるなんて、本当にいい人なんだなとイザベラの中のジョシュアの好感度がますます上がっていく。


「そうなの、しかもそれを人の気持ちがわからない先生に理解させなきゃいけないから、二重で厄介で...」


例えイザベラが恋が何かと理解しても、実際に惚れ薬を作るのはユリウスなので、最終的には彼にも恋という感情をわかってもらう必要がある。

たぶん、ここが一番の難所だとイザベラは思っている。


「...先生って、この間運んだ紳士ですか?」

「そう。ユリウス・フローベル先生。わたしの上司よ。人間性はひっどいけど、優秀な魔術師なんだから」


自分のことではないが、イザベラは自慢げに胸を張る。


「先生が恋を理解したら、きっと今までにない画期的なものができるに違いないの」


魔術に対してだけは狂気じみた誠実さを見せるユリウスだからこそ、誰にも辿り着けないものを生み出してしまいそうで恐ろしい。

けれど、それでもイザベラは期待せずにはいられなかった。


「だから、教えて、ジョシュア君。どうして、わたしを好きになったの?」


もう全て洗いざらい話したので、臆するものが何もなくなったイザベラは前のめりになってジョシュアを見つめる。

イザベラに探究心を向けられたジョシュアの琥珀色の瞳が複雑そうに揺れる。