恋を知らない天才魔術師が、惚れ薬を作るまで



今日も今日とて、ユリウスが暇つぶしに咲かせた桜の花びらが舞い上がる中庭の離れにあるベンチにジョシュアと隣同士で腰掛けた。


「それでね、ジョシュア君。聞きたいことなんだけど...」

「はい、イザベラさん!なんでも、どうぞ!!」


やけに食い気味で来るので、思わずイザベラは上半身を少しだけ後ろに傾ける。

このまま、なんで自分に好意を向けてくれるのかを聞けばいいのだが、内容が内容なだけに少しだけ緊張する。

しかし、これも来月の家賃のためだと腹を括り、イザベラは意を決して、口を開けた。


「じょ、ジョシュア君は、どうしてわたしのこと、す、す好きなの?」

「.............へ?」


勢いあまったのと、羞恥心で噛んでしまった。

ジョシュアの反応はというと、予想外の質問だったのか、目を丸くさせ、何度も瞬かせる。

こうなったらもう全て話してしまえと、王太子の依頼という部分を伏せ、惚れ薬作製における今までの経緯を全て説明した。


「なるほど...。つまり何故、人が恋をするのかわからないと惚れ薬は完成しないということなんですね」


長々とした話を最後まで真面目に聞いてくれたジョシュアは真剣な面持ちで納得したように深く頷いた。