恋を知らない天才魔術師が、惚れ薬を作るまで



今すぐ言い返してやりたい気持ちになったが、イザベラは理性ある大人なのでぐっと堪えた。

すると、なにか閃いたのかユリウスがにやりと笑う。


「告白してきたやつは、王宮の人間か」

「まぁ、一応...」

「なら、好都合だ。これから積極的に告白してきたやつと接触しろ」

「へ?」


理解が追いついていないイザベラは目を瞬かせる。


「お前には何も期待できんが、お前に告白してきたやつは格好の研究対象だ。そいつと接触して、恋とはなにか観察してこい」

「な、なんでわたしが...!?」

「来月も研究費が入ってこなくてもいいのか」

「うっ...」


お金のことを言われてしまうと、何も言えなくなってしまう。

ぐっと不満を飲み込み、奥歯を噛み締め、イザベラは渋々頷く。

なんか良いように使われている気がしなくもないが、これも助手の仕事だと思い、受け入れることにしよう。

惚れ薬の製作に一歩近付いたことが嬉しいのか、ユリウスがいつになく上機嫌に車輪付きの椅子でくるくると回る。

後で気持ち悪くなっても絶対に介抱してなんかやらないと心に決めて、イザベラは自分の席に戻った。

また面倒事が増えてしまったなぁ...。

まったく減っていない書類の山の前でイザベラは小さくため息を吐いた。

そして、案の定ユリウスは回転しすぎて気持ち悪くなったのか、その場に倒れ込んでしまった。

すぐには動かなかったイザベラだったが、結局気になって仕事に集中できなかったので、様子を見に行ってしまうイザベラなのであった。