恋を知らない天才魔術師が、惚れ薬を作るまで



あまり人の好意を利用したくはないが、生活費のためだと思うと仕方がない。

話したところでユリウスが興味を持つかもわからないし、とりあえず報告するだけしてみよう。


「先生」


コーヒーの入ったコップを手渡すと、ユリウスはいつものように息を吹きかけており、声をかけてもイザベラには見向きもしない。

内容が内容だけに、このほうが話しやすくていいかと思った。

ユリウスがコップに口をつけたと同時に、イザベラの重たい口が開く。


「...わたし、先ほど愛の告白を受けまして...」

「っつ...!!!」


すると、コーヒーが想像より熱かったのか、ユリウスの体が跳ねる。

考え事をしていたので、コーヒーを冷ますことを忘れていたことを思い出したイザベラは慌ててユリウスに駆け寄る。


「先生、大丈夫ですか?」

「口の中、火傷した...」


寝起きで熱いコーヒーのダメージが予想以上に大きかったのか、ユリウスは口元を手で押さえながら、目尻に涙をためていた。