恋を知らない天才魔術師が、惚れ薬を作るまで



話しかけてきたのに、言葉を詰まらせているようで、妙に歯切れが悪い。

お昼休憩中にずっとユリウスを探し回っていたおかげで、イザベラはまだお昼を食べていない。

それと、肩にのしかかってくるユリウスの重さが相まって、疲労と空腹で若干気が立っている。

要領を得ない男性に苛ついてしまっていると、それを感じ取ったのか、男性が慌てたように口を開く。


「お、お手伝いしましょうか?」

「.....へ?」


何のお手伝いだろうかと一瞬呆気にとられたが、すぐに肩に担いでいるユリウスのことだと気付いた。


「い、いえ、さすがに見ず知らずの方に手伝っていただくようなことでは...」

「し、しかし、先ほどから足取りがおぼつかないし、それにだいぶ疲れていらっしゃる」


それは確かにそうだ。

しかし、ユリウスは病人とかではなく、勝手に力尽きて気絶しただけのただの迷惑な変人である。

そんな人の運搬で近衛騎士の手を煩わせるのはいかがなものかとイザベラは気が引けてしまっている。

それに、ユリウスは他人との接触を極端に嫌がる傾向があるので、もし運んでもらっている途中で起きてしまったりなんかしたら、後々面倒くさいことになりそうだ。