恋を知らない天才魔術師が、惚れ薬を作るまで



「あの...」


顔を俯かせ、ぶつぶつと呟いていたイザベラは突然声をかけられ、驚きつつも顔を上げる。

目の前に、長身の近衛騎士の制服を身に纏った男性が立っていた。

ふわふわとした癖のある焦げ茶色の髪に、人懐っこそうな顔立ちをしている男性に、イザベラは瞬時に近所で飼われている犬のレオンを連想してしまった。

あまりにも失礼すぎる印象を抱いてしまい、イザベラはその場で大きく頭を振る。


「えっ、あの、大丈夫ですか?」


イザベラの突然の奇行に慌てた様子の男性は、距離を詰めてくる。


「だ、大丈夫です!ごめんなさい」


近くに来た男性の大きさにイザベラは若干圧倒される。

ユリウスも長身の方だが、さすが近衛騎士だけあって、体格が違いすぎる。


「...なにか、ご用でも?」


知り合いでもない近衛騎士に声をかけられることなど今までなかったので、イザベラは首を傾げる。

すると、目の前の男性が緊張した面持ちでイザベラを見つめてきた。


「えっと、その...」


と、思ったら視線を泳がせている。