恋を知らない天才魔術師が、惚れ薬を作るまで



「せ、先生!!」


あまりにも衝撃的な光景を目の当たりにし、思わずユリウスに駆け寄るイザベラ。


「離せ!!今日という今日は、徹底的に己の所業の責任を...」

「抑えてください、グロリア少尉!!」

「死人が出てしまいます!!」


すぐにでもユリウスに飛びかかりそうな勢いのグロリアが部下らしき人たちに抑え込まれている。


「くそっ...、脳筋が...!!」


倒れ込んでいるユリウスが鼻を押さえながら、恨みがましく唸っている。


「大丈夫ですか、先生!?」


ちり紙を渡し、イザベラはユリウスの状態を確認する。

鼻血が出ていて、殴られた箇所が腫れ上がっているが、それ以外目立った外傷はなかった。


「今回は...今回も先生が全面的に悪いです。正直、殴られて若干、いえ、かなりスカッとしています!」

「お前...!!」


ユリウスに睨まれるも、イザベラは動じない。

今回ばかりはさすがに、イザベラだってユリウスに怒っているのだ。


「今回みたいなことは二度としないでください!! 約束してくれなかったら明日から研究室に来ないですからね!!」

「ぐっ...」


脅しになるかはわからないが、イザベラが強気で主張すると、ユリウスが不服そうに唇を噛みしめる。

それを肯定と捉えたイザベラは顔を上げ、辺りを見渡す。

壁を破壊されたのと、ユリウスが吹き飛ばされたおかげで部屋中ありとあらゆるものが散乱していた。

とりあえず、明日から片付け頑張ろうと、大きくため息を吐くのと同時に、明日からも無事に生きられる喜びを噛み締めた。