恋を知らない天才魔術師が、惚れ薬を作るまで



すると、ただならぬ気迫がグロリアから発せられ、空気が一変する。


「ユリウス、貴様...」


グロリアから低く、重厚な、明らかに怒気が孕んでいる声が発せられる。


「自らの魔術で建物の一部を破壊しかけ、あまつさえ他人の命まで脅かそうとまでした。その上、嫌がる婦女に無理やり魔術の強制などと...」


そんなユリウスを睨みつけるグロリアは力強く握らせた拳を震わせる。


「その身勝手さと、傲慢さ、どこまで恥を晒せば気が済むんだ...!!」

「お前には関係ない。黙っていろ」


未だに自身に向けられた怒りに気付くことのないユリウスはグロリアのことなど見向きもしない。

あ、こいつ終わったなとイザベラを含めその場にいた全員が心の中で思った。


「歯を食いしばれ、ユリウス!!!その腐った性根を叩き直してくれる!!!」

「えっ、ちょっ、グロリア様!?」


イザベラが制する間もなく、彼女を抱えたまま、グロリアの怒りの乗った鉄拳がユリウスの顔を打ち抜いた。

次の瞬間、ユリウスの体が盛大に吹き飛び、部屋の向こう側まで飛んでいった。