恋を知らない天才魔術師が、惚れ薬を作るまで



やっと自分の死を受け入れる覚悟が決まったイザベラはゆっくりと瞼を閉じる。

すると、頬に何か温かいものが触れた気がした。

触れられるのと同時に、顎に手をかけられ、顔を上に向けさせられる。

驚いて、目を開けると、目の前にユリウスの顔があった。

ユリウスの視線が一瞬、触れているイザベラの頬に滑る。


「せ、先生...?」


いったい何を考えているのかわからない表情をしていたが、紫水晶の瞳に引き寄せられる。

というか、実際にどんどん近付いてきているのだが、いったいどういうことなのかと、混乱していると頭上の数字が視界に入った。

残りあと10秒。

10、9、8...

7のところで、どこからともなくピシリと亀裂の入る音が聞こえてくる。

そして、大きな衝撃音とともに、壁の瓦礫が目の前に吹っ飛んできた。