恋を知らない天才魔術師が、惚れ薬を作るまで



もっと触れたいと、そのままユリウスの腕にしがみついた。

ユリウスは何も反応しない。しかし、振り払われないということは、嫌ではないのだろう。

爆発までの残り3分になった。


「先生...、ケーキ、ありがとうございました。最後の最後に好物が食べられてよかったです」


悔いは残したくなかったので、ユリウスに伝えたいことを全て口にすることにしようと、イザベラはぽつりぽつりと想いを吐き出していく。


「先生は、よく行方不明になって生き倒れてるし、ご飯食べ忘れて死にかけるし、興味ある仕事しかしてくれなくて毎日大変でした。あと、他人の気持ちがわからないのも難点でしたね。いつも誰かしらに怒られてましたね」


何の前触れもなく、自分の悪口を言われて気分を害したのか、ユリウスから凄まじい圧を感じる。

しかし、イザベラはそれを無視して、続ける。


「今だって、先生の思いつきで死にそうになってるし...本当に、困ったお人です。......でも、魔術に関してだけは本当にすごい方だと、天才とはこの人のことを言うんだなって畏怖もありましたが、尊敬していました」


イザベラはユリウスの腕にしがみつく力を強める。


「だから、これから、先生が達成するはずだった偉業を見られないこと、とても残念です。......もし、来世があるとしたら、その時はもっとまともな人間になってくださいね」


言いたいことを全て言えたイザベラは顔を俯かせる。