恋を知らない天才魔術師が、惚れ薬を作るまで



しかし、ここでユリウスを責めたところで何も解決しないので、気持ちを落ち着かせるために大きく深呼吸する。


「...先生は、どうなんですか?」

「...なに?」

「先生は、恋、芽生えました?」


しっかりと瞳を見据え、問いかけると、ユリウスは神妙な面持ちで考え込む。

少し考えて、結論が出たのか、頭を振る。


「いや、何も」

「そもそも恋というのがいったい何なのかわからないのに、どうやって恋が芽生えたって判断するんですか?」


魔術だって万能ではない。

この魔術の作り手であるユリウスが恋がわからない以上、この事象で芽生えた感情が本当に恋なのか判断しようがない。

だから下手したら本当に芽生えたとしても、爆発が止まらない可能性だってあるのだ。

意表を突かれたのか、ユリウスは目を何度も瞬かせる。

まさか、そこまで考えていなかったのかと、イザベラは頭が痛くなった。


「先生、この魔術解いてください」


この間にも、頭上の数字は刻一刻と終わりに近づいている。

もう既に5分以上経過している。


「無理だな。一度発動したら、爆発するか恋を芽生えさせるかでしか解けないように組んだから、止まることはない」

「......は?」