恋を知らない天才魔術師が、惚れ薬を作るまで



「先生、本当にいらないんですか?全部、食べちゃいますよ」


ユリウスに買ってもらったケーキは全部で3つあった。

さすがに全部食べるのは気が引けたので、ユリウスに一緒に食べるかと聞くと、いらないと即答された。

3つもあるから、1つだけ食べて残りは家に持ち帰って食べようと考えたが、全部イザベラの好みだったので気付いたら最後の1つになっていた。

一応、最終確認として再度問いかけると、自身の席に座り、何か作業しているユリウスが面倒くさそうに顔を上げる。


「しつこい。いらないものはいらない。とっとと食べろ」


そして、すぐに作業に戻る。

それなら遠慮なくと、最後の1つにフォークを入れる。

久しぶりに甘いものを摂取しているので、さっきまでの疲れが嘘のように吹き飛んだ。

はぁー、美味しかった。

最後のひとくちを堪能し、用意していた紅茶を口に含む。


「食べ終わったか」