恋を知らない天才魔術師が、惚れ薬を作るまで



「せ、先生...!!」


イザベラは慌ててユリウスに駆け寄る。


「あの、男、人が下手に出ていたら調子に乗りおって...」


店主に対して恨み言をぶつぶつと呟いていたユリウスがイザベラに気付いたのか、口を閉ざす。

しかし、店主とユリウスのやりとりの一部始終を目撃していたイザベラは堪らず声を上げる。


「すいません、これ買っていただいたせいでお金、足りなくなっちゃいましたよね...」


申し訳なさで目を伏せると、ユリウスから発せられた言葉は意外なものだった。


「それについては気にするな。わたしがやりたくてやったことだ」

「でも...」

「それに...、いや、なんでもない」


何か言い淀んだユリウスだったが、顔を逸らされる。


「もうここに用はない、帰る」


体を翻すと、ユリウスは王宮へと続く道に向かう。


「あっ、待ってくださいよ。先生ー!!」


なんか少しだけ様子がおかしいなと疑いつつも、イザベラも同じ道を駆けていく。