恋を知らない天才魔術師が、惚れ薬を作るまで



話を聞く限り、お目当ての魔術書を購入するためのお金が足りていないらしい。

そこで、イザベラは持っているケーキの箱に視線を落とす。

まさか、これ買ってしまったから、足りなくなってしまった...!?

慌てて財布の中身を確認するも、ほとんど入っていない。


「いいのか。この本が欲しいやつなんてそこら中にいるんだ。別に俺は金さえ払ってくれれば、お前さんじゃない、他の魔術師に売ってやってもいいんだぞ」

「う、ぐぐぐ...」


ユリウスは悔しそうに言葉にならない唸り声を上げる。

少し考え込む素振りを見せるも、すぐに舌打ちをし、店主を睨み上げる。


「明日、再度金を用意して訪ねる。それまで誰にも渡すな」

「へいへい、毎度あり。明日はちゃんと全額持ってこいよ。フローベルの坊っちゃん」


店主の方に軍配が上がり、面白くなさそうに口を尖らせるユリウスが店から出てくる。