恋を知らない天才魔術師が、惚れ薬を作るまで




目的地の古本屋に着くやいなや、ユリウスは店の奥へと姿を消していった。

すぐに戻ってくるだろうと店の外で待っていたが、暫く経っても戻ってこない。

何かあったのかと、店の中を覗くと、何やらユリウスが店主の男と言い争っている。


「一日の取り置き料が、元の値段の倍以上かかるなど、暴利だろ!!」

「フローベルの坊っちゃん、あんた、この魔術書の価値、わかってて言ってんのか?」

「当たり前だ。だから、わざわざ来てやったんだろう。お前が、わたし本人ではないと譲らんとふざけたことを抜かすから」

「そりゃあ、魔術師でもないやつの手に渡ったら、なにに使われるかわからんからな。でも、さすがにタダで渡すつもりはなかったんだけどな...」

「だから、金は用意していたっと言っただろ」

「足りてないじゃないか」

「ぐっ...、それは...」


珍しくユリウスが押し負けている。