恋を知らない天才魔術師が、惚れ薬を作るまで



手が触れる瞬間、ユリウスの肩が僅かに揺れた気がした。


「...何のつもりだ」

「いえ、熱があるのかと思って...」


しかし、額からは特に熱を感じられない。

勘違いかと手を離すと、真上から責めるような鋭い視線が降ってくる。


「申し訳ありません...。有り難く、頂戴いたします」

「...まぁ、いい。行くぞ」


まだ声に苛立ちが残っているものの、ユリウスは古本屋に向かって歩み始めた。

イザベラも慌ててその後を追った。

それにしても、ユリウスが自分に何かをくれたのは初めてではないだろうか。

何故かわからないけど、胸が少しだけくすぐったかった。