恋を知らない天才魔術師が、惚れ薬を作るまで



目当ての魔術書がある古本屋は商店通りの外れにあるので、少し歩かなければいけない。

数メートル先を歩いているユリウスの背中を確認しながら、イザベラも歩みを進める。

しかし、買い出しの荷物が肩にずっしりと負担をかけてきて、少し疲れてきた。

不意に通りにあるケーキ屋の看板が目に止まる。

そういえば、最近節約のために甘いもの控えてるんだよな...。

店の前で立ち止まり、ショーケースに並べられている色とりどりのケーキに心奪われるも、拳を強く握り、我慢する。


「こんなとこで、何してる」


イザベラが急に立ち止まったことに気付いたのか、ユリウスが不機嫌な顔で引き返してくる。

行き先は一緒なのだから、わざわざ戻ってこなくてもいいのにと思いつつ、イザベラは頭を振る。


「すいません、少し気になってしまい...」

「菓子店か」

「はい、最近食べてないなーって...」