恋を知らない天才魔術師が、惚れ薬を作るまで




カフェインを摂取したおかげでだいぶ意識がしっかりしているものの、まだ少し寝ぼけているユリウスにイザベラは久々に思い出した桜の木のことを聞いてみることにした。


「先生は、どうして桜を咲かせたのですか」

「...桜?」


イマイチぴんと来ていないのか、ユリウスは訝しげに目を細める。


「庭園の隅でずっと咲いてる桜の木のことですよ。先生がやったんですよね?」

「................あぁ、あれか」


具体的に説明して、やっと思い出したものの、興味なさげに返事をして、コーヒーを口に含む。


「なんで、桜だったんですか?」

「特に理由はない。殺風景でつまらんかったから、試しにやってみた」

「試しにって...」


種が違う木を桜にした挙句、季節関係なく花を咲かせ続ける魔術を試しにやってみたと言われ唖然とする。

しかもそんな魔術を1つの魔術陣だけで成立させている。

試しにやってみたにしてははあまりにも高度すぎる。