恋を知らない天才魔術師が、惚れ薬を作るまで



イザベラは急いでコーヒーを淹れ、ユリウスの元へと持っていく。

コーヒーの匂いに反応したユリウスがゆっくりと顔を上げ、体を起こす。

程よい温度になったコーヒーが入ったコップをイザベラから受け取ると、すっかり癖になっているのかユリウスは何回か息を吹きかける。

やっとのことでコーヒーを口に運んだユリウスが、小さく息をつく。


「...先生、起きましたか」

「ずっと、起きていたが」

「...そうですか、ならいいです」


そのまま席に戻ってもよかったのだが、寝癖と襟が気になってしまうイザベラはやらなきゃいいのに、それらを直してしまう。

ユリウスもそれを当然のように受け入れてしまっているため、イザベラはますます危機感を覚える。

次こそは、絶対に手を出さないと固く心に誓うも、ユリウスのポンコツ具合を目の当たりにすると、どうしても放っておけないイザベラであった。