恋を知らない天才魔術師が、惚れ薬を作るまで



「なんだ、お前。何故、邪魔をした」


.........は?

別に感謝して欲しかったわけではないが、あんまりの暴言にイザベラは言葉を失う。

そんなイザベラに侮蔑ともとれる視線を向け、男性は桜の花びらを纏わせながら上体を起こす。


「気分を害した。帰る」


そして、そのままイザベラには目もくれず、立ち上がり、庭園を横切り、王宮内へと姿が消えていく。

な、なんなんだ、あの人...。

呆然としたまま、イザベラは男性が消えた先を見つめる。

あまりの出来事に暫く放心状態でいると、鋭い冷たさの風がイザベラを襲う。

一瞬、花びらで前が見えなくなり、振り払うように頭を横に振る。

風が落ち着き、恐る恐る瞼を上げると、桜の木の下の方に何か刻まれているのが見えた。

近付いて確認すると、それは魔術陣だが、その術式にイザベラは目を見張る。