恋を知らない天才魔術師が、惚れ薬を作るまで



微動だにしないその足に、焦ったイザベラは慌てて花びらの山を掻き分ける。

掻き分けていくうちに、段々と人間の形が現れ、イザベラは手の動きを早める。

息ができるよう、顔まわりの花びらを慌てて退かす。

すると、花びらの下から金色が見えてきて、男性の顔が現れる。


「だ、大丈夫ですか!?」


真上から覗き込むも、気を失っているのか反応がない。

触れてもいいのかと躊躇うが、そんなこと言っている場合ではないと頬に触れようとした。

その瞬間


「...ふっは」


その人は、息を吹き返したように目を覚ます。

久しぶりの呼吸だったのか、ものすごい勢いで咳き込む姿にイザベラは胸を撫で下ろす。

ひとしきり咳込んだ末、やっと落ち着いたのか男性はゆっくりと瞳をイザベラに向ける。

神秘的な紫色の瞳に、イザベラは心臓を掴まれるような感覚に囚われる。

しかし、すぐに男性の口から信じられない言葉が発せられる。