恋を知らない天才魔術師が、惚れ薬を作るまで




空になったお皿を片手に、イザベラは食堂へと続く廊下を歩く。

お腹が満たされたユリウスは、今度は眠くなったのかそのまま休憩室のベッドで眠り始めてしまった。

食べて、眠くなったからすぐ寝るって...

本当に赤ちゃんかよ...。

イザベラは小さくため息を吐く。

わたし、なんであんな変人の助手なんかやっているんだろうか...。

顔を俯かせながら、庭園を横切ろうとする。

その瞬間、風が強く吹き上げ、思わず瞼を閉じる。

次に目を開けた時、目の前には風で飛んできた桜の花びらが舞い上がっていた。

舞い上がる花びらを目で追ううちに、自然と庭園の隅にある桜の木へ視線が向く。

その桜を見た瞬間、1年前の出来事が脳裏をよぎった。