恋を知らない天才魔術師が、惚れ薬を作るまで



微動だにしないグロリアに、なんて声をかけていいかわからずにいると、彼女が小さくため息を漏らす音が聞こえた。

額に手をあて、前髪をかき上げると、グロリアはゆっくりとイザベラに向き直る。


「...すまない、見苦しいものを見せてしまった」


弟の言動を憂いているのか、悲しげに目を伏せている。


「いえ...」

「...君には、迷惑をかける。本当に、申し訳ない」


今にも頭を下げてきそうな勢いだったので、イザベラは慌てて首を横に振る。


「わたしは、大丈夫です!!先生の言動にはもう慣れましたから!!それに、グロリア様が謝ることではないですよ、絶対に!!」

「...そうか、ありがとう」


グロリアにとっては気休めにもならない言葉だったと思うが、彼女は小さく微笑んでくれた。


「それでは、わたしは失礼するよ。仕事の邪魔をして悪かった。...ユリウスをよろしく頼む」


そう言い残し、グロリアは研究室から去って行った。