恋を知らない天才魔術師が、惚れ薬を作るまで



さすがのグロリアも看過できなかったのか、怒りで顔を歪ませる。


「ユリウス、貴様ーーー!!!」


胸ぐらを掴もうとするも、ユリウスがグロリアの手を払いのける。


「気安く触るな、鬱陶しい」


感情がまったく込められていない声に、イザベラは思わず体を強張らせる。

いつもあまりにもポンコツすぎて忘れてしまうが、本来のユリウスは魔術以外に関心がない冷めた人間だ。

関わり方を一歩間違えれば、イザベラも同じような態度を取られるかもしれないと思うと、心臓が小さく軋んだ気がした。

ユリウスは、グロリアの横を通り過ぎ、部屋の奥にある休憩室に向かう。


「まだ、話は終わってない」

「知らん。身体が冷えたので、わたしは風呂に入る。用がないなら、とっとと帰れ」


そして、ユリウスはグロリアの顔を一瞥することなく、休憩室の扉を閉めた。

重たい沈黙が部屋に流れる。