恋を知らない天才魔術師が、惚れ薬を作るまで



目の前に実の姉の姿を確認すると、ユリウスは落胆したような声を落とす。


「...何しに来た」

「何しに来たではない!ユリウス、また父の呼び出しに応じなかったな」


若干苛ついているグロリアに対し、ユリウスは面倒くさそうにため息を吐いた。


「そんなことでわざわざ訪ねてくるな。わたしは、お前と違い、暇ではない」


だいぶ、棘のある言い方である。


「いつまでそんな子供じみたことを言っている。フローベルの嫡男として、恥ずかしくないのか?」


フローベルとは、建国時から続く由緒正しき伯爵家であり、昔から軍事でかなり名を馳せている。

魔術が発達してからは、才能ある魔術師も多く輩出しており、名門中の名門である。


「そんなもの知るか。わたしには、関係ない」


当の本人は跡を継ぐ気が全くないのか、グロリアが度々訪れては今と同じような会話が繰り広げられる。


「ユリウス...」

「あの男に言っておけ。もし跡継ぎが欲しいなら精力剤でもなんでも作ってやるから、孕ませるだけ孕ませとけと」


あまりの暴言に、倫理観を疑う。