恋を知らない天才魔術師が、惚れ薬を作るまで




「大変、お待たせしました...」


ユリウスの片腕を肩に担ぎ、半ば引きずるようにして研究室へ戻る。

扉を開けた瞬間、来客用のソファで待っていたグロリアが勢いよく立ち上がった。


「大丈夫か!?何が、あった!?」


当然の反応である。

二人とも衣服は泥と水で汚れ、ユリウスに至っては全身傷だらけだ。しかも、ほんのり獣臭い。

限界を迎えたイザベラは、その場にへたり込む。

すると、支えを失ったユリウスまで巻き添えのように床へ崩れ落ちた。


「すいません、ちょっと色々ありまして...」


あの後、荷台車を止めて、中を確認すると、案の定ユリウスが家畜に囲まれながら横たわっていた。

家畜たちの激しい抵抗を受けながらも、なんとかユリウスを荷台から引きずり下ろした。

何故あんな場所に入り込んでいたのかは知らないが、どうせ考え事しながら歩いてる内に中に入ってしまったのだろう。

抱えて連れて帰ろうとしたが、全身が家畜のよだれだらけの体を触れるのはさすがに抵抗があったため、噴水の水である程度洗い流した。