恋を知らない天才魔術師が、惚れ薬を作るまで



「...持続の魔術をかけた。半年は持つだろう」


当たり前のように魔術を行使したユリウスに、イザベラは驚愕する。


「えっ、先生...。さっき、どうやって魔術使いました?」


本来、魔術を使うのには魔術陣による術式構築と、魔石による魔力供給が必要だ。

人間の体内には魔術回路がないため、人体だけで魔力の生成、魔術の行使は出来ないはず。

しかし、ユリウスは先ほど指を鳴らしただけで魔術を発動させた。


「どうって...」

「魔術陣も魔石もなしに、どうやって魔術を使ったんですか?」


距離を詰め、問い詰めると、ユリウスはイザベラの気迫にたじろぐように後退りする。


「...魔石の魔力を体内に直接流し込んだ。頭の中で魔術陣を思い浮かべると、発動するようにしている」

「体内に魔力を直接...!?」


ユリウスは淡々と説明しているが、それがどれだけ常軌を逸したことなのか魔術師なら誰にでもわかる。

魔術回路を持たない体に魔力は負担が大きすぎるし、人体にどのような影響が出るのかあまりにも未知数すぎる。


「つまり、先生は魔力を体に入れる魔術陣を構築したということなんですよね...?」

「そうだが」

「失敗したらとか、思わなかったんですか?」