恋を知らない天才魔術師が、惚れ薬を作るまで



「必要ない。好きにしろ」


好きにしろって言われても、こんな大量の髪留めと髪飾りをどうすればいいのだろうか。

とりあえず、一生新しいものを買わなくては済みそうだが、それでも多すぎる。

それにしても、ユリウスは何故この髪留めに機嫌を損ねていたのだろうかと、イザベラは蝶々の髪留めに視線を落とす。

虫が苦手だったのだろうか。しかし、この髪留めがそこまで精巧に蝶の形を模しているわけではない。

......もしかして、蝶々が飛ぶ様子が気になってしまっていた、とか。

ユリウスは確かに中身は未発達児とそこまで変わらない。

でも、さすがにそんなことで機嫌が悪くなるわけ.......。

しかし、まさか、いや、でも...

完全にその可能性を否定できないイザベラは拳を小さく握りしめ、震わせる。

なんか少しだけ機嫌がよくなっているユリウスとは裏腹に、どうか違う理由であってくれと願うイザベラは悶々とするのであった。