恋を知らない天才魔術師が、惚れ薬を作るまで



「ご、ごめんねジョシュア君。先生、悪気があるってわけじゃなくて、ただ常識がなくて...」


いったいどんな言い訳なんだと内心思いつつ、イザベラはユリウスの不躾な態度のフォローを入れる。


「いえ、大丈夫です」


ジョシュアは特に気にすることなく、手を引っ込めると、再度ユリウスに笑顔を向ける。


「以後、お見知りおきを」


その笑顔に、少しだけ含みのある圧を感じたものの、ユリウスは興味なさげに視線を逸らした。

ジョシュアの視線がイザベラに戻る。

すると、何かを見つけたのか、今まで見たことないぐらいの最上級の笑顔をぶつけてきた。


「イザベラさん!!その髪留め、付けてくれてるんですね!!」


眩しさで目が潰れそうになるも、ジョシュアの一言で何に反応したのかわかった。

どうやら、何気なくつけたジョシュアからの贈り物の髪留めに気付いたらしい。


「嬉しいです!!とても似合っています!!」


尋常じゃないぐらいに褒めてくれるので、他に髪留めがなく、仕方なく使っていることに少し罪悪感を覚えた。

色んな角度から嬉しそうに髪留めを見てくるので、少し気恥ずかしくもある。


「あ、ありがとう...」


でも、褒められて悪い気はしなかったので、戸惑いながらもイザベラは小さく微笑んだ。