「まったく...、時間の無駄だった。帰るぞ」
椅子から立ち上がったユリウスは、イザベラに声をかけ、何事もなかったかのように部屋を出ようとしていた。
「待て、フローベルの小童」
サミュエルが呼び止めるも、ユリウスが足を止めないため、イザベラが服の裾を掴む。
仕方なく止まるも、サミュエルに背を向けたままである。
「助かった。礼を言う」
ユリウスへ礼を示すようにサミュエルは頭を垂れる。
だが、ユリウスは興味なさそうに扉へ向かい、そのまま研究室を出て行った。
イザベラはサミュエルに一礼し、ユリウスの後を追いかけた。
「先生!待ってください、先生!!」
先に行くユリウスを呼び止めようとイザベラは声を上げるも、まったく足を止める気配がない。
このまま真っ直ぐ自身の研究室に戻ってくれればいいのだが、不安なのでイザベラはユリウスに追いつこうと早足になる。
「イザベラさーーん」
すると、どこからともなく、イザベラを呼ぶ声が聞こえ、思わず足を止める。
辺りを見渡すと、王宮へと続く廊下の方から体格がいい青年が、手を振りながら、輝かしい笑顔で近付いてきた。
「ジョシュア君!」
「お久しぶりです!会えて、嬉しいです!!」
ものすごくいい笑顔を向けられ、あまりの眩しさにイザベラは毎度のことながら目を細める。

