恋を知らない天才魔術師が、惚れ薬を作るまで



「...あの、作業されている間、お茶でも飲まれますか?」


ようやく状況が見えてきたサミュエルの助手にお茶を勧められるも、イザベラは首を振る。


「いえ、たぶんお茶を淹れている間に全部終わると思うので」

「えっ、でも新しい魔術陣を作成されてるんですよね...?どんなに早くても、1日以上は掛かるはずですよ?しかも、今回依頼したのは治療系統の魔術陣なので、相当入り組んだ構造じゃないと機能しないはず...」


サミュエルの助手の言う通り、普通の魔術師が新たな魔術陣を編み出すには、かなりの労力と時間を費やす必要がある。

しかし、それは普通の魔術師の場合であって、ユリウスはその枠には当てはまらない。


「ーー出来たぞ」


一息つく間もなく、ユリウスが机に万年筆を置いた。

サミュエルがすぐさま机の上の紙束を取り上げ、視線を落とす。

静かに紙束に書かれている内容を全て確認し、小さく息を漏らすと、サミュエルは彼の助手に振り返る。


「すぐに、治験の準備を」

「えっ!?あっ、はい!!」


目の前で起こったことが理解できていないまま、サミュエルの助手はサミュエルの言葉に従うため、慌ただしく部屋から出て行った。