恋を知らない天才魔術師が、惚れ薬を作るまで



そして、暴れるユリウスを引きずりながら、サミュエルは部屋を出て行った。

やっぱり、先生は誰にとっても手のかかる人なのよね...。

少しの間、呆然とその場に立ち尽くしていたイザベラだったが、我に返るとすぐに業務に取り掛かった。

ユリウスがいると、何か問題を起こさないか心配で気が散ることが多いので、いない今のうちに片付けられるだけ片付けてしまおうと気合を入れる。

しかし、ユリウスがサミュエルに連れて行かれて数分後、困った顔をしたサミュエルの助手の魔術師がイザベラを訪ねてきたのだった。

話を聞こうとしたが、見てもらったほうが早いとサミュエルの研究室まで連れて行かれる。

そこで目の当たりにしたのは、散乱した部屋の中で大乱闘を繰り広げているユリウスとサミュエルの姿だった。


「いい加減大人しく言うことを聞け!!いつまでも往生際が悪いやつめ!!」

「うるさい、無駄に歳を重ねただけの老いぼれが。偉そうに指図するな」

「貴様は図体だけデカくなった小童だろうが!!」


体格差と年齢差的にユリウスのほうが圧倒的に優勢だと思われるが、ユリウスのほうが高齢のサミュエルに羽交い締めされて、動きを封じ込められていた。

いい歳した大の大人が子供のように大喧嘩する姿は見るに堪えず、イザベラはサミュエルの助手へと視線を逸らす。


「先生...、サミュエル先生が...」


信じられないものでも見るかのようにサミュエルの助手は口元に手を当て、目を見開かせ、唖然としている。