恋を知らない天才魔術師が、惚れ薬を作るまで




ブチッ

朝、いつものように仕事に行く準備をするために鏡の前で髪を後ろに束ねると、何かが切れる音が聞こえた。

束ねたはずの髪が垂れていくのを見て、髪留めが切れてしまったことに気付く。

代わりのものを探したが、見つからない。

そうしている間にも、家を出なければならない時間が刻一刻と迫ってくる。

焦り出したイザベラは何かないかと部屋中引っかき回していると、先日のデートでジョシュアから贈られた蝶々の形をかたどった髪留めが袋に入ったままの状態で出てきた。

もう時間もないし、これでもいいやと袋から取り出し、急いで髪を束ねる。

髪の乱れを整え、ローブを着て、イザベラは急ぎ足で部屋を出た。