恋を知らない天才魔術師が、惚れ薬を作るまで



内心ですよねーと予想通りの反応に少し落胆するも、イザベラはそんな素振りを見せないよういつも通りの受け答えをする。


「何か不備でも?」

「これには今日お前が体験した出来事が書かれているだけであって、本来の目的である恋が芽生える原理について何の記述もない」


さすがにバレたか、心の中で小さく舌打ちをする。

ジョシュアから向けられた好意をもとに、恋らしい単語をそれとなく報告書に散りばめてみた。

けれど、ユリウスには通用しなかったらしい。


「それに最後の、これはなんだ。次回に続くと書かれているが...」

「そのまんまの意味です。次のデートもすでに約束しています」


何故そうなると視線で訴えかけられ、イザベラはさすがに耐え切れず、視線を逸らす。


「仕方ないじゃないですか...。相手のほうが一枚上手だったんです...」


弱々しく言い訳をすると、ユリウスが眉間を手で押さえる。


「...期待したわたしが愚かだった...。予想以上にお前が馬鹿で、使えんやつとは思わんかった...」

「もっと、他の言い方があると思うんですけど...」

「馬鹿はなんと言っても馬鹿だ。他にどんな言い方があると言うのだ」


あまりにも酷い言いようにイザベラは悔しさが込み上げてくるも、ユリウスの期待に応えられなかったのは事実だったので怒りをぐっと堪えた。

しかし、言われっぱなしも癪なので、あることを試してみようとユリウスににじり寄る。