恋を知らない天才魔術師が、惚れ薬を作るまで



書き上げた報告書を最終確認し、イザベラは小さく息を漏らした。

なんとかまとめ上げたが、果たしてこれでユリウスが納得するかどうか心配だ。

そもそも肝心のジョシュアがイザベラを好きになった理由が明かされていないため、恋心が芽生える原理がわからずじまいだ。

こんな報告書を提出してもいいのかと悩みどころではあるが、一応仕事だし、手当が出る以上報告する必要がある。

イザベラは報告書を手に、立ち上がる。


「あの、先生...」


近付いただけでは反応しないユリウスに声をかけると、煩わしそうに顔を上げる。

向けてくる高圧的な視線だけで相手を怯ませることが出来そうだが、イザベラはそんな視線に慣れてしまっているため、気にすることなく報告書を差し出す。


「これ、今日のデートの報告書です」


そう口にすると、ユリウスの瞳がイザベラと報告書を交互に見て、何かを言いたそうにするが、渋々それを受け取る。

ゆっくりと視線を書類に滑らせると、所々引っかかる箇所があるのか、時折視線が止まり、眉が反応する。

そして、全て読み終えたのか、ユリウスの口から冷ややかな声が発せられる。


「...なんだ、これは」