恋を知らない天才魔術師が、惚れ薬を作るまで



「それじゃあ、また次のデートまでに僕があなたを好きになった理由を頑張って考えてきてください」

「...はえ?」


あまりにも衝撃的だったので、耳を疑った。

目の前の笑顔の青年を凝視する。


「えっ、次って...?」

「今回のデートで、イザベラさん、答えを見つけられなかったじゃないですか。だから次に持ち越しです」

「デートしたら、教えてくれるんじゃ...」

「はい、でも今回のデートで、とは一言も言っていませんよ」


笑顔でとんでもないことを言ってのけるジョシュアに、言葉を失う。

この時、ようやくイザベラはジョシュアの思惑にまんまと引っかかったことに気付かされたのである。

この爽やかな笑顔の青年は、イザベラが思っていたよりも遥かに強かで、策士だった。

予想外の展開についていけず、混乱で固まってしまったイザベラにジョシュアは申し訳なさそうに目を伏せた。


「すいません、イザベラさん。困らせるつもりはなかったのですが、あまりにも僕に興味が見られなかったので、つい...」


ジョシュアはイザベラの手を掴み、そのまま自分の胸元まで引き寄せ、両手で包み込んだ。

そして、琥珀色の瞳で真っ直ぐイザベラを見据える。


「ただ、あなたのことが好きなのは本当です。本気で、あなたに恋をしています」


直球的すぎる愛の告白に、イザベラはどうすればいいかわからず、目を瞬かせながら、ジョシュアの真剣な顔を見つめることしかできなかった。

むしろ恋という感情が、人をここまで突き動かすのかと、感心してしまう。

恋をする人って、すごいのね...。

こうして、イザベラの初デートは、恋という感情が人を突き動かす力になり得るのだと彼女に教え、予想外の課題を残して終わった。